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地域経済(9) 経済を読む

アジアと北海道
小樽商科大学 ビジネス創造センター 
  センター長・教授 海老名 誠



 私は過去30年間一貫して「日本の発展はアジアと共に」と主張してきました。昔はそんなことを言ってもあまり賛同してくれる人は少なかったのですが、最近アジアや中国の経済成長に注目が集まり、アジアの活力を日本に取り入れる方策が論じられるようになってきました。
 今年6月17日に概要が発表された「国家戦略プロジェクト」の新成長戦略でも日本に外資を導入しようとの戦略が明らになりました。
 本シリーズでは、アジアの多くの国は外資を取り入れて経済を成長させてきたことをお伝えしてきました。これまで日本は、外国に出て行くことは積極的でしたが、外国の企業や資本を誘致することには消極的でした。対内投資が低い水準に留まってきた一番の原因は、日本の法人税が主要国に比べ高いからです。アジアに拠点を創設しようとする外国企業にとって、日本は高コストになるので、周辺のアジア諸国に拠点を創る方が良いとの結論になることが多かったのです。
 今回、法人実効税率を主要国並みに引き下げることや、日本に新規投資する外資に対して税制面での優遇や入国手続きの簡素化などを行うことが明記されました。若干、遅きに失した感がありますが、今後日本に外国の資本が入り、外国の企業や労働力が日本に元気をもたらしてくれることを願ってやみません。

特集「アジアと北海道」
 さて、昨年末から北海道新聞で「アジアと北海道」という特集を5部にわたり組み、今アジアが北海道に熱い視線を送ってくれている実情を報道してくれました。私は北海道新聞の「読者と道新委員会」委員ですので、同社の幹部に今回の特集は大変良かったと伝え今後の協力を確認しました。今回の「小樽學」では、その特集にとりあげられた記事から、小樽の元気にヒントとなるケースをいくつかご紹介しましょう。

北海道で学ぶアジアからの留学生
 皆さんは今何名くらいのアジア留学生が北海道で学んでいると思いますか? 1995年には約900名だったそうですが、昨年は約2200名になったそうです。中でも、中国大陸からの留学生は1200名もいるそうです。さて、その内、何パーセント位の留学生が卒業後日本や北海道で働きたいと希望していると思いますか? 札幌商工会議所が行ったアンケートでは、9割が日本で働きたい、このうち5割が北海道で働きたいとの希望だったそうです。これは4割の東京を上回っています。
 本学でも多くの留学生が学んでいますが、最近は中国からの留学生が圧倒的に多くなってきました。こんなに多くのアジア留学生が北海道で働きたいと希望しているのに、北海道や小樽では留学を終了したアジア留学生に働き場所を十分提供しているでしょうか? 北海道新聞の特集では「留学生は、北海道とアジアの架け橋になる。そのネットワークは、大学、企業、地域をアジアに開き、アジアで生きていくエネルギーをもたらす」と書いています。
 本学の大学院博士課程で勉強中の「小樽ふれあい観光大使」でもある、台湾からの留学生 沈 潔如さんの提言もこの特集で紹介されました。沈さんは、これまで私達と一緒に、台湾や香港、中国に小樽を紹介する催事に積極的に参加してくれています。昨年、台湾の民間会社が「最も行きたい日本の観光地」を調査したところ、全世代で北海道が1位になり、支持率は40%だったそうです。沈さんの意見では、台湾はアジアの試験市場だそうです。
 この意味は、台湾で人気が出れば、香港や中国に広がれると言う意味です。食材がおいしくて安く、距離も近い北海道・小樽は食にうるさい中国系の人々には魅力的だといいます。

我々の心がアジアに開かれるか
 これだけ、アジアからラブコールがあるのに、小樽の市民は本気で外国人を受け入れる気持ちになっているでしょうか。あとは小樽を元気にしてくれるアジアに向けて、我々の心が開けるかの問題だけが問われています。