小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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編集後記

 夢と現(うつつ)


 人に夢と書いて儚い(はかない)と読みます。希(まれ)な望みと書いて希望ともいいます。むべなるかなそんなモンです。ドッコイされどそんなモンでもあります。
 夢の対比が現です。ある宗教では、現をも仮の姿として、この世はあまねく夢とする潔い(いさぎよい)のもありますが、まあ俗に夢と現の関係があります。
 博打(ばくち)に走ったり、仮想にこもったりも夢志向と思われがちですが、現実逃避の方法でしかなく、夢というより我が侭といった方がいいでしょう。
 夢は現を良き方向に変えようとする目標や動機でありたいし、願わくば夢には他者への思いやりがあって欲しいと思います。
 宮沢賢治の有名な作品「雨ニモマケズ」の最後に「サウイフモノニ/ワタシハナリタイ」とあります。生きていく最低限のレベルの中で思いやりのある心が綴られ、そういう平凡な現こそ夢なのだと語っているようで、現をも仮の姿とみる視点と真逆ですが、いずれも見事な視点です。
 現から夢が生まれ、夢を持って現で耐えたり戦ったり待ったりするプロセスで、自らの真が見えてくるものでしょうが、賢治の心を初心に据え、現をも仮の姿だったと笑える最期であればと願います。


 歴史文化研究所 副代表理事・編集人 石井 伸和