小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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地域経済(10) 経済を読む

小樽は国際観光都市になれるか
小樽商科大学
ビジネス創造センター 
  センター長・教授 海老名 誠



国際観光都市の条件
 私は大学に着任するまで銀行や研究所の国際部門で働いて来ましたので、北海道を離れていた34年間に多くの国や都市を見て来ました。その経験から、小樽や札幌は「国際観光都市」になれると確信を持って言う事が出来ます。
 有名な観光都市には共通のポイントがあります。観光客を魅了する歴史的景観(含む建造物)がある。名産品がある。良い温泉が豊富にあると言うのも、日本の観光地では貴重な財産です。また「空気が美味しい」「水が美味しい」などが観光客から高い評価を得ることもあります。

小樽国際観光の長短
 小樽には「国際観光都市」に必要な条件のほぼすべてが揃っています。海あり山ありの風光明媚な自然、坂の多いレトロな街並み、多くの歴史的建造物と小樽運河、大半の銭湯は温泉と言う驚き、新鮮な魚介類と美味しい寿司、全国一の集積を誇るガラス工房、そして堺町周辺のにぎわいなど、私などが説明するまでもなく、小樽は世界中からの観光客を魅了して止みません。
 しかし、小樽が「国際観光都市」になるために決定的に欠けている要素もあるといわざるを得ません。それは「市民参加」です。世界の国際観光都市では、行政や観光関連業者の活動に加えて、一般市民も参加して観光客を温かく迎える様々な活動が行われています。小樽を「国際観光都市」にするために、市民にも外国からの観光客を歓迎する活動に参加していただく必要があります。
 私は本学に着任以来、小樽の様々な方々と一緒に、小樽活性化のプロジェクトに取り組んで来ました。この6年間の観察で、観光をはじめとした小樽活性化に大変熱心な方々がおられる一方、全く関心を示さない方々も多数おられることが解りました。

市民の浸透度
 小樽は昔に商業・交易で栄えた歴史の古い街です。一時期には多くの都市銀行の支店が業務を競っていたことからも、往時の活発な商業活動がしのばれます。「小樽学」の7月号に旧安田銀行ビルの歴史が紹介されていましたが、私自身も昭和45年11月に富士銀行小樽支店閉鎖のため、小樽に長期出張を命ぜられた経験を持っています。今では小樽に都市銀行の支店は一つもありません。
 しかし、時代の変遷と共に、小樽市を支える産業は変化し、今では観光が小樽の重要な産業です。小樽市の財政収入の三分の一は、観光関連収入です。しかし、小樽の市民は観光産業を歓迎しているようには見えません。往時の繁栄を経験した高齢者には、交易や港湾事業などが「実業」とすれば、観光産業は「虚業」に見えるのかもしれません。

中国人受け入れで一つに
 7月1日に日本政府は中国人の訪日ビザ発給に関する要件を緩和しました。これまでは中国人の訪日は富裕層に限られていましたが、これからは中間所得層の中国人がどっと日本に来ることでしょう。新千歳空港は、今年3月26日に国際空港ウイングを拡張しましたが、既に混み合って来たようです。
 日本全体の昨年の中国人訪日観光客は101万人でしたが、日本政府は今年180万人、そして2016年には600万人の受け入れを目標として様々な準備を進めると発表しました。一方、中国国家観光局によれば、2010年の中国人海外旅行者は5300万人になるそうです。
 中国の急速な経済成長に伴い、海外に「買い物旅行」をする中国人が急増しています。これを受け、7月19日の新聞報道によれば、三菱地所は成田空港の近くに、中国人観光客をターゲットとした大型アウトレットを20133年に開業すると発表しました。九州でも商店や百貨店で中国語の堪能なスタッフを増強し、中国人が買い物で使う「銀れいカード」を使える体制を整えているそうです。
 小樽は今でも中国人から高い評判を得ている観光地です。この様な時代の変化に取り残されないよう、皆で力を合わせる必要があります。