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観光学(18) 観光を読む

スクリーンツーリズムと北海道
北海道大学 観光学高等研究センター 
  センター長・教授 石森 秀三



「Love Letter」で市立図書館として撮影された旧日本郵船(株)小樽支店
「Love Letter」で市立図書館として撮影された旧日本郵船(株)小樽支店

映画が観光客を引き寄せる
 1995年に公開された岩井俊二監督の映画「Love Letter」(豊川悦司、中山美穂主演)は、日本アカデミー賞で優秀作品賞を受賞し、大いに話題になりました。99年には韓国や台湾でも公開され、とくに韓国でヒットしました。劇中で使われた「お元気ですか?」という言葉が韓国で流行語になるとともに、この映画の舞台となった小樽に韓国から数多くの観光客が訪れるようになりました。たしかに小樽は絵になる街であり、映画を観た人は小樽に引き寄せられるようです。
 2008年に公開された中国映画「非誠勿擾(狙った恋の落とし方)」は、中国で正月映画最大のヒット作になり、興行成績第1位を記録しました。この映画は道東地域で撮影されたために、09年から釧路空港へのチャーター便が増えるなど、中国人観光客が一挙に増加しました。まさにこの映画は中国における北海道観光ブームの火付け役になったといわれています。

「北の国から」五郎 石の家
「北の国から」五郎 石の家
スクリーンツーリズム
 観光庁は、経済産業省、総務省、文化庁などと協力をして、今年度から「スクリーンツーリズム促進プロジェクト推進事業」を立ち上げています。観光庁の定義によると、スクリーンツーリズムとは「映画・ドラマ等の映像作品に関心を持つ人々が、当該映像作品の視聴、もしくは作品に関する情報との接触をきっかけとして、国境を越えて映像作品の制作現場となった地域に来訪し、旅経験を実践する行為」のことを意味しています。
 要するに、日本で撮影された映画やドラマが諸外国で公開されることによって、日本の魅力発信に大いに効果を発揮しているために、スクリーンツーリズムの促進を図ることによって、インバウンド観光の促進や国内各地の地域活性化につなげることが意図されています。
 観光庁は現在、インバウンド観光の促進に力を入れているために「国境を越えて映像作品の制作現場となった地域に来訪し」という点に力点を置こうとしていますが、映像作品のインパクトは国内的にも生じるものです。北海道ではすでに倉本 聡脚本による富良野を舞台にしたテレビドラマ「北の国から」(1981〜2002)がロングランでヒットしたことによって、富良野は全国区の観光地になりました。

今年度の事業内容
 観光庁は今年度において、製作者と撮影地の双方が利用可能な効果的かつ持続的な支援・連携スキームの実現に向けて、今後の支援・連携のモデルとなる作品を募集して、スクリーンツーリズム促進ガイドラインの策定を行う予定です。要するに、(1)スクリーンツーリズムの促進モデルの構築、(2)海外からの作品誘致・支援体制モデルの構築、(3)スクリーンツーリズム促進プラットフォームの構築などが意図されています。
 募集する映像作品は、日本の魅力を広く世界に発信可能な映像作品(映画・テレビドラマ等)です。支援内容は、(1)日本での撮影を行うための情報の提供、(2)資金の提供:撮影支援の場合(500万円以内)、シナハン・ロケハンの場合(100万円以内)などです。
 この事業を推進するためにワーキンググループが設置されており、北大観光学高等研究センターの山村高淑准教授が座長を務めています。山村准教授はコンテンツツーリズム研究の第一人者で、新しい観光研究をリードする研究者です。今年六月に洞爺湖温泉誕生100年記念事業の一環として「TOYAKOマンガ・アニメフェスタ」が開催された際に、「サブカルチャーとツーリズム、そして次世代の地域振興」と題する観光創造フォーラムを主宰しました。
 洞爺湖で実施されたフェスタのさいには、マンガやアニメのキャラクターに扮して街歩きが行われ、約二百人がコスプレ姿を楽しみました。疲弊した温泉街にいかにして若い世代を引き寄せるか、について新しいチャレンジが行われています。