小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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分野(20) 様々な観光

群来そば
ほくでんサービス 株式会社 小樽支店
販売課担当課長 須藤 雅司 氏
〒047-0033 小樽市富岡1-9-1
E-mail:masaji.sudo@hokuden-service.co.jp


須藤 雅司 氏
須藤 雅司 氏

ニシン蕎麦
 ニシン蕎麦は主に関西の名物になっています。かつて北海道でふんだんに漁獲され、肥料用のほか食用として身欠ニシンが北前船で大阪に運ばれ、京都が発祥となって甘露煮にして蕎麦に載せるようになりました。
 しかしニシンのとれる北海道においてニシン蕎麦は普及していません。北海道では新鮮な刺身や焼いたり三平汁にしたりする選択肢が先行し、身欠という保存状態を手にしてからの選択肢とは大きく異なるからです。
ところが小樽観光において歴史が注目を浴びると「なぜ小樽にニシン蕎麦がない?」という観光客も増え、またニシンが小樽近海でとれ始めたことが背景となり、以下の話しがリアリティを持ってきました。

群来そば考案の系譜
 昭和26年芦別生まれの須藤氏は昭和45年に北海道電力入社、平成18年に小樽支店に赴任します。平成21年に「おたる案内人一級」資格を取得しますが、ニシンに関する様々な講座内容に大きな驚きを覚え、間もなく2月25日付けの北海道新聞に小樽の浜にニシンの「群来」現象が報じられ驚愕します。3月に祝津貴賓館でニシン蕎麦を食べている時に、「まるで天から授けられたように」「群来そば」が具体的にイメージされたといいます。
 「群来」とはニシンの雌が岸部のホンダワラという海草に卵を産み、雄が白子をそこに出すことによって、海が乳白色に染まる現象をいいます。いわばニシン大漁を表すおめでたいシンボル的現象です。
 天が須藤氏に命じたイメージは、白子をとろろイモに、ホンダワラを海草に、そこに甘味を抑えたニシンの甘露煮と数の子を入れるというものです。
 早速、知人の杜の樹の蕎麦打ち行事で提案して試作すると、大変好評で仲間5人で鰊プロジェクト実行委員会を結成し、祝津の群来陣で群来そばの発表を兼ねたイベントを開催し、30人程が集まり、「ネーミング・地域性・具のバランス・そして物語性も抜群」と好評を博し、ここでも是非広めようという声が大きく上がりました。

やま安の群来そば(小盛り用)
やま安の群来そば(小盛り用)
伝播
 鰊プロジェクト実行委員会は、祝津たなげ会や現代版北前船プロジェクトにも積極的に参加し、物語の情報を得ながら群来そばの普及をしていきました。
 現在では静屋通りの籔半、色内の一福、堺町の惣吉、銭函の両国、祝津のマリーナ食堂に加え、稲穂のやま安がそれぞれオリジナルの群来そばをメニューに上げるようになりました。各蕎麦店では海草をワカメやノリや子持昆布、白子を大根おろしやトロロイモ、数の子を姿か刻みか、はたまた暖・冷の別もあり、多彩でアレンジしながら広がっています。

深化
 須藤氏のこだわりは「全て小樽産」にすることです。
 群来そばプロジェクトメンバーの友人で忍路の「水車の会」の協力を得て蕎麦栽培の取り組みとねまり芋の栽培を働きかけ、微量ですが味も十分な蕎麦とイモが栽培されています。これによって果てしなく小樽独自の名物になる可能性が生まれてきました。

ヒューマンネットワーク
「仕事との関わりは?」と聞くと「むしろプラスになっています」と応えます。「只単にオール電化やエコキュートを進める営業より、こういうヒューマンネットワークから入る方が構えずに聞いていただけるし、心底アドバイスもできます」そう応え、「まさにあっという間の閃きと普及の速度ですね」と聞くと「自分でも驚いています。小樽にはまだ知人も少ないのにもうこんなに広まってくれました。考えて見ると群来そばには水産・農業・商工・観光という産業と歴史や文化が一つの器の中で手を繋いだ形になっています。私自身がどこかの組織に入っておらず、むしろシロウトだから遠慮無く怖さ知らずでできたのだと実感しています」そう笑顔で語ってくれます。