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地域経済(14) 経済を読む

TPPをどう考えるか
小樽商科大学 ビジネス創造センター 
  センター長・教授 海老名 誠


アジア経済連携協定セミナーの模様 
アジア経済連携協定セミナーの模様 

 最近急にTPPと言う言葉を新聞紙上やテレビで見かけます。今回は、TPPとは何か・TPPをどう考えたら良いのか等を勉強します。

 TPPと言うのはTrans-Pacific Partnership Agreementの略で「環太平洋パートナーシップ協定」と訳されます。これは、今年俄かに注目されてきたのですが、太平洋を囲む国々の貿易自由化交渉のことです。

 貿易取引は輸出と輸入ですが、輸出が輸入より大きくないと貿易黒字は生まれません。天然資源の少ない日本は「貿易立国」といわれるように、これまで貿易を伸ばして黒字をためて生きて来ました。今後の日本が元気に生き続けるためには、貿易をもっと盛んに行い、輸出を伸ばし、貿易黒字を増やすことが必要です。

貿易自由化交渉
 さて、貿易自由化交渉は第2次世界大戦が終了した時点から始まっています。最初はGATT(General Agreement on Tariffs & Trade)と言って「関税および貿易に関する一般協定」と訳される交渉が日本を含む世界23カ国の参加で1948年に始まりました。東京ラウンドとかウルグアイラウンドと呼ばれる交渉で、様々な国の輸入関税の撤廃が実現しました。日本が輸出をする場合、相手国の輸入関税が高ければ売れません。「日本が世界で一番貿易自由化の恩恵を受けた国だ」といわれるのは、輸入国の関税が撤廃されたために輸出を伸ばすことが出来、貿易黒字を貯めることが出来たからです。その交渉は1995年に今のWTO(World Trade Organization)(世界貿易機関)に発展したのです。WTOには現在153カ国・地域が参加しています。しかしWTOでの交渉は暗礁に乗り上げています。今はドーハラウンドという交渉をしています。まもなくこの交渉も10年になりますが、未だ結論が見えません。その一番大きな理由は、WTOでは「全会一致方式」と言って、加盟国全ての賛同を得られなければ決められない仕組みになっているからです。

 WTOでは交渉が進まないと見た各国は、FTAとかEPAと呼ばれる交渉を加速しています。FTAはFree Trade Agreement/Area(自由貿易交渉/地域)、EPAはEconomic Partners Agreement(経済連携協定)といい、WTOが世界中の交渉であるのに対し、2国間や地域間の交渉である点が大きな違いです。FTAは貿易の交渉ですが、EPAはもっと広く、人の移動と呼ばれる外国人の労働なども交渉しています。

TPPの特徴
 さて、それではTPPは何なのでしょうか。TPPもFTAの一種といえますが、2国間の交渉ではなく、ある地域にまたがった貿易自由化交渉といえます。実は、これまでにも主としてアジア地域で地域をまたがった貿易自由化交渉が行われてきました。
 しかし、アメリカの反対などにより、未だ実現していません。TPPは、今年の3月にアメリカや豪州を含む8か国で交渉が開始され、10月にマレーシアが加わり今は9か国で交渉をしています。色々な貿易自由化交渉がある中で、このTPPの実現可能性が一番高いと見られており、日本がこの交渉に参加するかが注目されているのです。

 他の交渉とTPPが一番違うのは、他の交渉では貿易量の1割弱の例外が認められているのに、TPPでは10年以内に全貿易取引を完全に自由化しなければいけないという点です。
 こうなると、国内農業保護の目的で、昔から米などに高い輸入関税を課して来た日本は思い切った決断が必要になります。農業の割合が大きい北海道ではその影響も大変大きなものになります。しかし、世界の流れは貿易自由化に向かっており、日本は既述の様に貿易自由化の恩恵を受けて経済を成長させて来たのですから、ここで国を鎖国する訳には行きません。つまり、日本の国益のためにTPPに参加するのならば、政府は国内の産業政策をしっかりと考え、TPP参加で利益を増大出来る産業と損害を被る産業の間の調整を慎重に、しかし果断に行う必要があるということになります。