小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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観光学(22) 観光を読む

アートが小樽の未来を拓く
北海道大学 観光学高等研究センター
センター長・教授 石森 秀三



創造都市とはなにか
 2004年に「ユネスコ創造都市ネットワーク」が創設された。創造都市とは「創造的な文化の営みと革新的な産業活動の連関により、まちを元気にしている都市」のことだ。
 ユネスコは、グローバル化の進展で固有文化の消失が危惧される中で、文化の多様性を保護するとともに、世界各地の文化産業が潜在的に有している様々な可能性を都市間の戦略的連携によって最大限に発揮させるために「創造都市ネットワーク」を創設した。文学、映画、音楽、クラフト&フォークアート、デザイン、メディアアート、食文化など7つの分野で、世界の中で特色のある都市を認定している。
 日本からはデザイン分野で神戸市と名古屋市、クラフト&フォークアート分野で金沢市が創造都市として認定されている。そのほか、浜松市が音楽分野、鶴岡市が食文化分野での認定に向けて準備を進めている。

創造都市さっぽろ
 札幌市は2006年に「創造都市さっぽろ」を宣言している。この場合の創造都市とは「創造性に富む市民が暮らし、外部との交流によって生み出された知恵が新しい産業や文化を育み、絶えず新しいコト、モノ、情報を発信していく街」のことだ。
 札幌市は「北海道国際総合芸術祭札幌ビエンナーレ(以下、SB)」を2014年から2年毎に開催することを計画している。芸術やアートというと、芸術家やアーティストがかかわる特別な領域とみなされがちだが、SBは「アートを全方位へとひらく」というコンセプトを立てている。
 アートの創造的な力を、日々のライフスタイルの中に、都市の生活空間の中に、社会的な活動の中に、企業の製品開発や産業の仕組みの中にまで広げていくことによって、札幌だけでなく、北海道全体のポテンシャルを高めていくことが意図されている。

札幌ビエンナーレ
 SBは、単に展覧会やイベントを訪れて作品を鑑賞するだけの受動的アート体験ではなく、未知なる場所に出かけ、その土地の気候風土、歴史、文化、食、人々との交流を体験しながら、五感を通して、様々なアートを楽しむことが意図されている。
 冬をモチーフにした「北海道ゆきぐにアート」、風土が育む農業による「北海道あぐり・あーと」、アートを新たな観光需要の創造に活かす「北海道アート・ツーリズム」、北海道をアート活動の拠点にする「アーティストたちが住む街プロジェクト」、北海道の若き才能の発掘とチャンス創造の場を提供する「国際こどもビエンナーレ」など多種多彩である。
 小樽はかつて北海道で最も栄えた都市であった。小樽の未来を考えるさいに、「創造都市」という発想が重要になる。札幌ビエンナーレは「北海道国際総合芸術祭」を標榜しているので、それと連動させながら、「小樽の未来を拓くカギ」の一つとしてアートを活用していくことも大切だ。人口規模がほぼ同じ鶴岡市が創造都市を目指しているので、小樽市も新しい発想の元で頑張るべきだろう。