小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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地域資源活用ビジネス(20) 小樽独自のビジネスモデル


おたる織物 染織アトリエ Kazu
〒047-0031 小樽市色内1丁目10番23号
TEL:0134-22-8544
FAX:0134-22-3274
http://www.at-kazu.com



梱包資材
 現代では輸送の際の梱包に使う素材は多岐に亘っているが、戦前には木箱や麻袋が一般的だった。今日でも麻袋は肥料・飼料・大豆・麦などの梱包に使用されているが、大豆の集積地であった小樽には、1926(大正15)年発行の小樽商工名録に、6軒も扱っていた記録がある。しかし2010年現在ではの1軒が存在するのみ。

小豆と麻袋
 越後商人の高橋直治は第一次大戦(1914〜1918)で小豆を買い占め、主戦場であったヨーロッパへの販売で巨万の富を築くが、小樽に集積された小豆の多くは有幌にあった倉庫に収納され豆選り女工といわれた人々の手で仕分けされ出荷。この時の包装資材が麻袋である。したがって他の地域と比べて小樽には小豆に比例して麻袋業も多く存在していた。

高橋直治
 小樽商人と称された群像の中には、直接小樽に私財を投じて貢献した人々が多いが、高橋は間接的に後の小樽に貢献した。間接的というのは、高橋の事業により、小豆が小樽に集積し、そこから良質な小豆を使用した菓子文化が今日に至るまで発展し、ここで取り上げたおたる織物も小樽に豊かにあった麻を生地として使用する文化が派生したといえるからである。

麻製バッグ
麻製バッグ
おたる織物
 おたる織物代表の寺岡和子氏は1960年代から、織りと染めの技術を持ち修練し続けるが、素材の相談を内田商会(現在銭函にて営業)に相談に行った際に、小樽の前述のような背景を知り、「麻」を勧められる。当時、麻の生産を行っていた大阪にも見学に出向き、仕入ルートを確保するが、麻がビニールなどに代用されて以来、その仕入元もなくなったため、京都の織り元を通じて、バングラディッシュから輸入し、今日に至る。  
 寺岡氏は1992年には現在の色内に工房を設置し、「麻」という小樽の歴史に因果の深い素材を使った染め・織りの独自のクラフト及び作品を製作していく。(8号参照)

麻製ランチョンマット
麻製ランチョンマット
加工
 加工はまず糸状態で仕入れ、油分などの不純物を取り除く「精錬」(化成ソーダで煮る)をしてから「洗い」「染め」「織り」という行程を辿る。包装用の麻袋として使用する場合はこの「精錬」行程が省かれ、むしろ染みついた油分によって防水効果があるという。

新製品 とうきびのひげ製
新製品 とうきびのひげ製
麻と小樽
「麻は太く強い生地で、しかも安価ですが、揺れには弱いのです。
 小樽は商業の近代化を推し進め、自由で荒削りの歴史を歩んで発展してきました。そこからイメージすると、 「太く強い」意志がなければ、新天地とはいえ厳しい自然の中では生きられず、新しいビジネスモデルへの挑戦なので「安価」で済ます合理性を極めなくてはなりません。
 しかし、新興都市(新参者)なので社会的な「揺れ」には弱いのです」
 そう語る寺岡氏の言葉のハシハシに小樽を愛する心が滲み出ている。