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地 産(5) 後志でなにが生産されているの?

リンゴジュース
株式会社 北王よいち
代表取締役社長 小田 寛 氏


創業まで
 「北王よいち」。この社名は「北のキングを目指す」という思いで付けられた。
 前身は小田商店。余市町内で生産されたリンゴを加工用として青森県の加工場へ卸す業務に長年携わってきた。ところが平成に入り、輸入自由化により安いリンゴが出回るようになり、余市のリンゴを青森まで持って行ってもコストが合わない時代に突入したのだった。そんな時代の流れの中で、当時の余市農協は組合員の要望に応え、リンゴの生産量を確保するためにジュースの加工を始めた。それが「りんごのほっぺ」だった。
 それから数年後、宇宙飛行士の毛利 衛氏の凱旋パレードがあり、町外からのたくさんの賓客やマスコミが余市町を訪れた。その方々の中から「なぜ果物王国の余市は、新鮮な原料があるのに、町内で加工する民間会社がないの」という意見が数多く出たという。その声は巡りめぐって、そのまま小田氏に向けられた。
 人生の転機だった。しかし、資金、工場、技術などすべて何もない状態からのスタート。あるのはそれまでの仕事を通じて築いたリンゴ生産者との信頼関係、栽培技術、リンゴの見極め、青森では加工場に必要な設備、技術などを長年見ていたことだった。財産は人間関係だけだった。
平成4年4月23日、使命感を胸に会社を設立した。しかし、工場も人も販売先も何も決まっていなかったが、リンゴの収穫が始まる9月に創業すると決め、怒涛の4ヶ月間に挑んだ。42歳の時だった。

日本一高くて旨いリンゴジュース登場
 工場建設に際しては、これまで出会った地域の先輩、後輩、そして小田商店時代に培った人脈により銀行の融資や工場設備、技術、人員などを支援してもらい、何とか9月の創業に間に合わせた。9月1日、遂にリンゴ収穫時期に合わせ工場が稼動した。そして日本一高いと言われるリンゴジュースが完成した。人のつながりで出来たジュースだった。 
 創業当初は高い商品は絶対に売れないと周囲から言われた。当時の余市町長にまでも高くて売れないのではと言われたそうだ。平成4年といえば、バブル崩壊直後の景気低迷時期。りんごのほっぺが420円なのに対し、北王よいちのジュースは1本1,200円。この価格差でも徹底した差別化で売れると信じていた。北海道では売れなくても、東京・大阪では高級なものを欲しがる客層があることを知っていた。千疋屋や高級果物店では1個数百円もするリンゴが平然と売られていたのを小田氏は実際にリサーチしていたのだ。ターゲットは高級志向の人、そしてギフト需要という消費ピラミッドの一番上を狙うこととした。

品質のこだわり
 高級路線で販売していくためには高い理由が明確でなければならない。小田氏は自信があった。リンゴジュースの味は90%、原料で決まる。この原料調達に関してはどこにも負けない絶対の自信があった。小田商店で築いた農園との信頼関係、そしてどこの農園のどの斜面のリンゴが旨いかを熟知していた。また余市のリンゴは生産者の技術と気候風土がマッチし、全国的にも品質が良く高級路線には申し分なかった。最高のリンゴを手間ひまかけて作る。普通の製造工程では絞った果汁をすぐにビン詰めをして出荷するが、北王よいちでは一度大きな缶に保管し、糖度、酸度を調整してから出荷する。これは加工するリンゴの味がそれぞれ違うため、絞った日毎の果汁を数値化して保管し、出荷毎に常に一定の味に調整する。このため、通常の製造工程より大量の缶が必要になること、保管する保冷倉庫が必要となりコスト高となる。しかし、この手間をかけた工程が全国の大手のバイヤーや商社の信頼を勝ち取ることになったのだ。大手の商社になるほど品質管理やしっかりとしたトレサビリティを求めてくる。高くても絶対安心でき、安定供給できる製品を彼らは求める。こうした取組みの結果、ウィンザーホテル洞爺で行われたサミットの飲料に選定された。

ステップアップ
 小田氏の次のステップは新たな果物での製品作りと周辺整備だ。今、アントシアニンが豊富なアロニアという果物に注目している。アロニアの本来もっている味を引き出すための研究を進めている。
 また来年は創業20周年を迎える。これを機に新工場の建設と敷地内の農園をこれまで以上に楽しめるように整備し、原料も製造工程も見学できるようにする。
 小田氏は言う。「20周年を機に、さらに品質管理を徹底できる工場にするのが目的で、生産量を増やすわけではないのです。企業を継続していくためには信頼を裏切らないことです。それを強化するための建設なのです」

株式会社 北王よいち
〒046-0001 北海道余市郡余市町栄町1093番地
TEL(0135)22-7280 FAX(0135)22-7290
http://www.hokuohyoichi.com/

※北王よいちのジュースは余市町ではエルラプラザ、小樽市では運河プラザ、札幌市ではオーロラタウン「きたキッチン」で購入することができます。また北王よいちのホームページ(http://www.hokuohyoichi.com/)で購入することができます。