金子誠治画文集「愛の絆」
金子誠治氏は1914(大正3)年に北海道砂川で生まれ、5歳のときに家族で小樽に移住、戦前には道展初入選、日本版画家協会展入選・国画会展入選、造形版画協会新作家賞を受賞し、戦後は画業に専念、昭和62年には小樽市教育文化功労賞を受賞、平成6年に80歳で永眠した小樽を代表する版画家である。
こどもの心
人はレールに乗るとホッとするものだが、ワクワクする気持ちまでも保障される訳ではない。創作の世界ではこれがないとつまらない。
金子氏の創作と指導はいつもこのワクワク感がテーマだった。それは本人自体がその「気」で満ちあふれていたからだろう。その「気」は老若男女も位も国籍も問わず際を持たない。
仕事や金銭や名誉のつながりも不要とはいわないが、人と人の絆にこういうバイパスがあることを金子氏の作品と人柄は教えてくれる。
妻 金子 峰
妻であり書家でもある峰氏は、これまで様々な誠治氏の作品集の黒子として編集に携わってこられた。
2010年11月27日から2011年2月13日まで、市立小樽美術館において「木版画家 金子誠治 愛の絆展」が開催されるのを機に、『金子誠治画文集 愛の絆』を不自由な体を信念でかばいながら、絆からの視点で上梓された。作品と同時に金子氏のこども心が沸き立つ契機やそれに影響された方々の絆で統一されている。
※金子誠治作品を本誌表紙に掲載させていただいていることをこの場をかりて改めて感謝申し上げます。