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観光学(2) 観光を読む

日本の観光競争力
北海道大学 観光学高等研究センター 
センター長・教授 石森 秀三


ドイツ ハイデルベルグ城
ドイツ ハイデルベルグ城

「世界経済フォーラム(WEF)」レポート
 私は十数年前に「2010年代のアジアで観光ビッグバン(大爆発)が生じる」という予測を行いましたが、まさにその予測が的中しつつあります。先進諸国も開発途上国も観光競争力の強化に本腰を入れています。はたして、日本の観光競争力は大丈夫な水準にあるのでしょうか?
 そのような疑問に答えてくれる重要なレポートが今年3月に公表されています。それは「世界経済フォーラム(WEF)」というスイスのジュネーブに本部を置く財団法人による「旅行・観光競争力レポート2009」です。この財団は世界的に有名なダボス会議を主宰する団体で、毎年、「世界競争力レポート」「世界男女格差レポート」などを公表していますが、2007年から新たに「旅行・観光競争力レポート」を公表するようになりました。
 このレポートは世界の133か国を対象にしており、14の指標にもとづいて、競争力ランキングを明らかにしています。14の指標は、政策・法令、環境面の持続性、安全・保障、保健・衛生、旅行・観光の優先度、航空インフラ、陸上交通インフラ、観光インフラ、情報通信技術インフラ、価格競争力、人的資本、旅行・観光との親和性、自然資源、文化資源などから成っています。

世界のランキング
 2009年の総合ランキングは、第1位がスイスで、以下順に、オーストリア、ドイツ、フランス、カナダ、スペイン、スウェーデン、米国、オーストラリア、シンガポール、英国、香港、オランダ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ポルトガル、アイルランド、ノルウェー、ニュージーランド、キプロス、ベルギー、ルクセンブルグ、ギリシアまでがベスト24位。
 ベスト24か国のうち、18か国がヨーロッパ諸国であり、それ以外の国ではカナダ、米国、オーストラリア、シンガポール、香港、ニュージーランドだけです。このランキングを格付けした「世界経済フォーラム(WEF)」はスイスのジュネーブに本部を置いているために、欧州スタンダードで格付けを行ったという面もありますが、かなり客観的に調査を行っているために、確度の高いランキングであると謙虚に受け止めるべきでしょう。

日本のランキング
 日本は総合ランキングで第25位です。日本は「陸上交通インフラ」は第8位と高く評価されており、「文化資源」でも第10位と高評価を受けています。一方、「旅行・観光との親和性」は第131位でワースト第3位。要するに、旅行・観光に対して親和的な国とはみなされていません。また、政府による「観光に対する優先度」は第83位とされており、観光がまだ十分に国家的課題とみなされていないという評価がなされています。一言で言うならば、現在の日本は世界の中で「観光中進国」という位置づけにあるといえます。

京都 清水寺
京都 清水寺
観光立国「日本」
 日本は本来「観光魅力の宝島」です。日本の魅力は、自然との共生を図り、美を追求することにあるとともに、伝統的なものと現代的なものが共存していることにあります。また、産業的な活力と文化的な香りが共存するとともに、日本的なものと西洋的なものが並存していることも魅力的です。さらに、自然景観に恵まれるとともに、社会の治安と規律が保たれていることも重要です。そういう意味で、日本は本来、「観光中進国」にとどまる国ではなく、むしろ「観光最先進国」として世界のお手本となるべき国です。
 昨年10月に観光庁が新設されており、民産官学の連携・協働のあり方を改革して、「観光立国」の動きを本格化させ、国際競争力を高めることが世界から求められてます。